注:若干時系列的におかしな所もありますが、そのほうが面白くなるとの信念の元、故意にやっていますので、ご了承ください。
||| プロローグ |||
カラカラと石畳の上を、西に向かって馬車が走る。
都市と都市をつなぐ長距離馬車。移動時間は優にひと月を超える。
心地よい揺れに身を任せながら、リリーはそれでも毎日飽きることなく窓の外をじっと眺めていた。
日付が変わるごとに、景色が次第に移り変わっていく。
よく見知ったそれから、なつかしいそれへと。
はるか遠くに望むのはヴィラント山。そして森の中に佇むエアフォルクの塔。
美しい水をたたえるへーベル湖。広々と続くベラグラド平原。
そして今日。
街道の先に国をぐるりと囲む城壁と、青い尖頭が姿を表す。
「帰ってきた・・・んだ。・・・ようやく・・・ここへ」
リリーは窓から身を乗り出す。
「ただいまー!!ザールブルグ!!」
リリーはザールブルグの町に向かって大きく手を振る。
それに答えるように青い尖塔がキラリと光った。
||| 本編 |||
1/2/3/4/5/6/7/8/9/後書き
2001/09/22〜2001/10/22
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