も っ と






唇がそっと触れあって、名残惜しげに離れていく。
その余韻に酔うように少しだけ間をおいて、妖ノ宮はゆっくりと目を開けた。
すると目の前に微笑む伊摩利の顔があって、恥ずかしさの余り視線を落とす。
そんな姿を愛でる様に、伊摩利は額に、瞼にと、やわらかな口づけの雨を降らせていく。


「初めてでしたか?そうして恥じらう姿もまた愛らしい」


「伊摩利は慣れているのね」


「まぁ、かれこれ百三十年も生きているので、それなりにはね」


「ふー…ん」


妖ノ宮はかつて同じ様に甘い口付けを送られた美姫達を想い、唇を尖らせた。


「妬いているのか?かわいらしい方だ。だが、これほどまでに夢中になったのは、あなたが初めてですよ」


愛しむ様に頬を撫でると、妖ノ宮は眉根を寄せたまま、じっと伊摩利を見上げた。


「ははは。信じられないという顔ですね。この心を直接お見せできれば良いのですが、さすがにそうもいかない」


さて、どうすれば信じて頂けますか?と問いかける甘い声と眼差しに、とくんと鼓動が跳ねる。




「じゃあ、もっと      。」





2008/11/04







もっとの後はご自由に想像してください。